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微熱に疼く慕情
第2章 【動き出す熱情】
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唇が離れて寂しいって思う私はどうかしてる
先輩の顔、直視出来ない
「やっぱり俺、橘さんの事、凄く好きみたい…」
こんな距離でそんな声色で言われたら
応える前に身体が動いちゃう
踵を上げて、顔を近付ける
鼻の頭が触れて、目を閉じた
私から、キスをしていた
一瞬離れて……また重なる
胸にあった手は、首の後ろに……
抱き着いて舌を絡めてしまったの
自分で種、蒔いちゃった
壁に押し倒し返されて、驚く私に指を絡ませてくる
手を握り合ったら言葉なんて要らなくて
目だけで会話して、また受け入れる………
男と女の始まりなんて、唐突に過ぎないのかも
安全な場所に居たとしても、始まる時は始まるもの
知らぬ間に扉を開けてしまってたんだ
手招きしたのは、きっと私だ………
始まってしまった———
そう思っていたのに、この期に及んでまだ渋る
「まだジャッジ出来ないです」
キスしたのに…?ズルい言い訳だよな
それでも先輩は私を優しくハグしてくれて
「大丈夫、ちゃんと待ちます」って真摯な対応力……
中身もイケメンか……
「期待して待ってます」と笑ってくれた
不可抗力だったと言ったもん勝ちな気がしてならないけど、そんなズルい私をも包み込んでしまうような柔らかさとその優しさに……もっとつけ込んでしまいそうです
「橘さんの気持ちを一番に尊重するよ、付き合ってはないけど俺は想いを寄せてる、橘さんの返事待ちって事だけど周りには一切言わない」
「はい……すみません」
「謝らないで?俺だって大事に育てたいんだ、さっきのは嬉しいアクシデントって事にさせてもらうね?取り消せないよ?し、しちゃったんだから…」
時々垣間見る少年っぽさが逆に新鮮で、先輩もこんな顔するんだ、とか思って笑っちゃう
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