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さくらドロップ
第3章 強奪
 そういえばと、最近気付いたんだけど、アイツの様子が可笑しい。なんだか妙にそわそわしてるし、執拗に一緒にいたがって離れようとしない。そして何より、一年生の教室に行こうとすると、何かと理由をつけて邪魔してくるようになった。
 こちとら折角仲良くなりかけて、名前もそろそろ手に入りそうだというのに、面倒な妨害工作は全力で遠慮したい。私が甲斐甲斐しく通ってる理由も察しているだろうに、そういう嫌がらせは良くないと思うの、うん。でも他の人に言いつけると、それは仕方ないよみたいに返されて、解決の糸口は全く見付からない。

「なー、まだ一年んとこ行くのかよ」

 そしてアイツ、幼馴染の翔はそれはもうしつこくそう言ってくるようになった

「そうよ。なんか文句ある?」
「文句っつーかさ、進展ないんだろ? もう諦めたら?」
「残念でしたー、そんな事ありませーん。私の作ったお弁当を、それはもう美味しそうに食べてくれますー(ちょっと嘘だけど)」
「それ、俺には作ってくれねーくせに」
「なんで作らなきゃいけないのよ」
「ベツニー」

 翔はなんとも不満そうに唇を尖らせて黙り込む。
 最近こういった不毛なやり取りが増えた。コイツが何を言いたいのか、何を考えているのかさっぱりわからなくなった。かまってもらえる事が少なくなって、むくれているんだろうか。

「ほら、支度して。カラオケ行くんでしょ」

 促せば、翔は渋々といった感じに鞄に荷物を詰め始める。と言っても、ペンケースを放り込むだけの簡単なお仕事。早く早くと急かして、未だに膨れっ面の彼と、誰もいなくなった教室を後にした。
 他の人は先に行っている。翔だけ、授業中に寝てたのがバレて、罰の居残りをさせられていたのを、私一人で待ってあげたというのに。この幼馴染はそれだけでは満足できないらしい。
 放課後の廊下。夕日が窓から差し込んできて、オレンジ色に染まっている。運動場から聞こえる微かな部活動中を思わせる掛け声。昼間の喧騒が嘘みたいに静まり返った校内を、二人並んで歩く。
 いつもなら子犬みたいにきゃんきゃん煩い彼だけど、今は不貞腐れたような顔で、むっつりと口を閉ざしていた。何がそんなに気に入らないのかわからなくて苛立って、わからなくて戸惑った。いつも一緒にいた幼馴染の彼の事が、最近はよくわからない。
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