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さくらドロップ
第4章 この病を治す方法を誰か教えて
 しかし、いつまで経っても彼はその閉じた唇と開こうとしない。迷いを含んでいた瞳は、いつもの無機質なものに戻っていた。
 期待が不安に変わり、不安が疑問へと変わる。

「あ、あの…?」

 堪らず、こちらから声を掛けてしまう。しかし彼は、私の呼び掛けに応じる事はなく、ふいと視線を逸らされたと思ったら、すたすたと先へ行ってしまった。そのまま姿は教室の中へと消えていく。

「……何?」

 一人取り残された私は、そう呟くしか他なかった。
 彼が何かを言おうとしていて、それをに迷って、そして、結局それは言わないと結論付けられて終わってしまったらしい。
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