この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater4.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
さくらドロップ
第3章 強奪
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
「ねぇ」
戸惑いがちに声を掛けると、ん、と短く返ってくる声。その態度は正に不機嫌そのものって感じだ。
思わず溜息が出る。面倒で、少しだけ不安に思った。
「もう、何にそんな怒ってるのよ。なーに考えて―――」
「お前がっ」
バンッ。
急に、目の前に腕が伸びて、音を立てて壁を打つ。
驚いて目を見開く。見上げた先にいた翔は、酷く顔を歪めて、私を見ていた。
「お前がっ…、お前の方がっ…!」
絞り出すように吐き出された声。震える唇が開いて、けれどもそれ以上の言葉は出ない。
動けない。声も出ない。時が止まってしまったかのように、思考も止まる。ただ、ゆっくりを近付いてくる翔の顔を、見つめることしか出来ずにいた。
「茜さん」
ハッと、我に返ったのは、まだ慣れない、無機質な声だった。
「あれ、金髪くん、どうして」
「何してるんですか」
「何って…、ちょ、翔、近い近い」
ぐいっと体を押しのけると、翔の方も気が抜けていたのか、呆気なく離れた。
戸惑いがちに声を掛けると、ん、と短く返ってくる声。その態度は正に不機嫌そのものって感じだ。
思わず溜息が出る。面倒で、少しだけ不安に思った。
「もう、何にそんな怒ってるのよ。なーに考えて―――」
「お前がっ」
バンッ。
急に、目の前に腕が伸びて、音を立てて壁を打つ。
驚いて目を見開く。見上げた先にいた翔は、酷く顔を歪めて、私を見ていた。
「お前がっ…、お前の方がっ…!」
絞り出すように吐き出された声。震える唇が開いて、けれどもそれ以上の言葉は出ない。
動けない。声も出ない。時が止まってしまったかのように、思考も止まる。ただ、ゆっくりを近付いてくる翔の顔を、見つめることしか出来ずにいた。
「茜さん」
ハッと、我に返ったのは、まだ慣れない、無機質な声だった。
「あれ、金髪くん、どうして」
「何してるんですか」
「何って…、ちょ、翔、近い近い」
ぐいっと体を押しのけると、翔の方も気が抜けていたのか、呆気なく離れた。
![](/image/skin/separater4.gif)
![](/image/skin/separater4.gif)