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さくらドロップ
第3章 強奪
 金髪くんの方はいつもと変わらない様子で、いや、ゲーム機を持っていない彼の姿を見るのは正直初めてで、しかも学校指定の体操着を着ているではありませんか! レアい!
 嬉々として駆け寄って、頭のてっぺんから爪先まで眺め見る。同じクラスの女子はこんな姿いつも見てるのか。いいな、私もあと数年遅く生まれていれば。
 
「何何、部活中? 何部に入ったの?」
「陸上」
「へぇ、足早かったり? あ、持久力あるとか? 黒髪くんも一緒? 私も入ろうかなぁ。部員としては無理だけど、マネージャーとか。募集してたりしてないかなー?」
「……一度に聞かないで下さい」

 むつり。彼は少しだけ声に呆れを滲ませて言い、口を閉じた。その真っ黒な瞳が、気のせいかもしれないのだけど、少しだけ険を帯びているような。それは私の姿を通り越し、後ろへと注がれていた。
 釣られるように振り向けば、翔の姿。そして翔も同じように、きつい目線で金髪の子を見ている、ような気がした。

「えーっと、この子が、一年生の、」
「行くぞ、茜」

 翔は私の言葉を遮って、私達の横を通り過ぎていく。慌ててその後ろ姿に声を掛けるけど、無視してどんどん先に行ってしまう。
 溜息。何よ、感じ悪い。

「ごめんね、これからカラオケ行くの。またね。部活、頑張って」

 金髪くんに両手を合わせて、慌てて翔の後を追う。

「ちょっと、翔。待ってよ」
「るせぇ、みんな待ってるんだろ。だいたいお前はストイックなフリして、」
「は?(何だか聞いた事あるような台詞)」
「……何でもねー」

 翔は、少しだけいつも翔に戻っていた。
 だから、さっきの何、なんて野暮な事聞かない。

『お前の方がっ…!』

 その言葉の続きを、聞いたりなんかしない。

『何してるんですか』

 何をしていたのか。何をしようとしていたのか。
 もし、あの時金髪くんが来てくれなかったら、どうなっていたのか。
 その続きを考えるのが怖くて、全部、なかった事にした。

「でもマネージャーって、何するんだろう」
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