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さくらドロップ
第4章 この病を治す方法を誰か教えて
 彼の黄金色の髪は遠くからでもよく目立つ。日の光を浴びてきらきらと光り、風に吹かれればさらさらと滑らかに揺れていた。授業中にふと視線を外にやり、体育をしているクラスなんてあれば、黒に混じるそれを探すのだけど、いつも空振りで終わるのだ。
 その隣にいつもいるのが、黒髪の彼なのだけど、意外と彼の髪も艶めいてとても綺麗な事に気付く。短く切られた髪は、そのつんけんな態度とは対照的に、柔らかい。思わず手を伸ばして触ってしまいたくなるような。なんとも羨ましい限りである。
 けれどもどうしてか、今日は黒髪の子だが教室にいて、私のお目当ての席はぽっかりと開いていたのだった。

「あれれ、あの子今日はお休み?」

 金髪の子の机にお弁当を広げながら黒髪の子に聞く。彼は私をちらりと見た後、肯定も否定もせずコンビニのお弁当を黙々と食べ続けた。
 なんだろう、喧嘩でもしたんだろうか。互いに干渉せず、うまい距離感を保っていた二人が衝突するなんて考えられなかった。珍しい。
 いつも通り重箱を並べて、黒髪の子の前に皿代わりの蓋を置く。この量を二人で食べきる自信は全くなかったのだけど、お腹は空いているのでとりあえずお握りに箸を伸ばす。残ったら残ったらで考えよう。

「アイツがいないのに、ここで弁当食うのか」

 黒髪の子が、少し意外そうに言った。彼の持っているお弁当の中身は既に空で、コンビニの袋の中にゴミとして放り込まれている。それなのにどうしてか、今日の彼は私のおかずには手を伸ばそうとしない。 
 私は少しだけむっとなって、持って来ている箸を黒髪の子に押し付ける。

「君だってお弁当食べるじゃない」

 だいたい、誰の為にこんなに沢山作ってきてると思ってるの。私一人分でいいなら、普通のお弁当箱で良いのよ。誰かさんがそれはもう沢山食べる手の掛かる子だから、毎日こうして作ってきてるんじゃない。卵焼きしか食べない子もいれば、色んなもの作れって煩い子もいて、お母さんは大変なのよ。ちゃんと食べてくれないと困ります。

 相手に口を挟ませないように、早口でそうまくし立てる。黒髪の子はぽかんと呆気に取られたような表情で、私に押し付けられた箸を持ったまま。
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