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さくらドロップ
第4章 この病を治す方法を誰か教えて
「別に、君の事をついでになんて考えないよ」

 最初のきっかけは、確かに金髪の子に好かれたいからだったけど、だけど黒髪の子を邪魔に思った事なんて一度もない。金髪の子に無視されてる時、渋々ながらも助け舟を出してくれる、優しい子。無愛想で喧嘩っ早くて、いつもちょっと不機嫌そうな顔してるけど、ご飯食べてる時は少しだけ表情が柔らかくなる。

「まぁ、最初はそうだったけど。今は違うから。君たちとご飯食べて、美味しそうに残さず食べてくれるから、とても嬉しいよ」

 やだもー照れるわー、なんてごまかすように笑った。そしたら彼は、そうか、と短く言って、お弁当に手をつける。その顔が、今まで見た事ない顔をしていて、私は言葉を失ってしまって、慌てて視線を逸らした。
 見てはいけないものを見てしまった気分だ。心臓がばくばくと激しく脈打っている。身体の底から込み上げる激情が、恋のときめきと似ていて、必死に否定した。

「アイツ、屋上にいるかも」
「へ…?」
「なーんか朝から機嫌悪くて。三限ごろからどっか行ってる。多分屋上で寝てんだと思う」
「お、おおう、そうだったのか。よし、お母さんが起こしに行ってくる!」

 がたっと勢い良く席を立ったのは、今すぐここから飛び出して行きたい現われだった。恥ずかしさで居た堪れない。

「漆原」
「うえいっ(やばっ、変な声出た)」
「俺、柏岡孝樹って言うから。もう変な呼び名で呼ぶんじゃねーぞ」

 そう彼はぶっきらぼうに言った。ふいと逸らされた横顔が、少しだけ赤くなっている気がして、こちらの羞恥心がに煽られた。

「お、おー。んじゃ、行ってくる」

 情けなく真っ赤に染まった顔を見られたくなくて、私は逃げるように教室を飛び出した。
 なんか狡い。なんて狡い。狡い狡い狡い。これがギャップ萌というやつなのか、ツンデレ恐るべし。だたちょっと笑っただけでこんなにも心を乱されてしまうなんて、凄く、狡い。このタイミングで名乗ってくるあたり、女性の攻略なんておちゃのこさいさいかっ。
 恋ではないとわかっている。ただ不覚にもときめいてしまっただけ。それが悔しくて、恥ずかしくて、早く彼に会いたかった。会って安心したかった。
 私が恋をしているのは、まだ名前も知らない、彼の方なのだと。
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