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さくらドロップ
第2章 まるで蜘蛛の糸に絡め取られた蝶のように
「こーはーいくーん」

 今日も今日とて突撃お昼のお弁当。
 最初はかなり目立っていたけれど、人というものは悲しくも慣れてしまう生き物なので、堂々と一年生の教室に乱入してきても、最早誰も振り向いたりしない。初めから全く興味がなかった金髪の彼は勿論、黒髪の彼も今では冷静にスルーだ。
 相変わらず携帯ゲームを片手に、購買部のパンを咥えている金髪くん。その前の席で、もくもくとコンビニのお弁当を食べる黒髪くん。この二人はいつも一緒にいるけど、仲良く話している所を目撃した事は、一度もなかったりする。
 私は適当に近くの席から椅子を拝借して、金髪くんの机の横に付ける。いそいそと持参の重箱を並べ置き、箸を準備。すると真っ先に、金髪くんが卵焼きに手を伸ばしてくる。

「こら、箸使いなさい、箸」

 そう注意しても、彼は構わず指で摘みあげて、そのままパクリ。片手で器用にゲーム機を操作しながら、もぐもぐと口を動かしている。表情の変化は見られない。
 その横で、黒髪くんもひょいひょいと重箱の中身を摘んで行く。彼は色んなものが食べたいタイプなのか、全てのおかずに必ず一回は箸をつけていく。こちらもむっつりと無愛想。
 それでも、餌付けの効果はなかなか偉大である。初めはあからさまに嫌そうな態度を取っていた黒髪くんは、だいぶ丸くなった。金髪くんは、最初のころと態度は全く変わらないのだけど。二人ともも私の存在に慣れてしまったらしい。
 それでも未だに、名前すら教えてくれないんですけどね。

「オイ、卵焼き多過ぎだろ」
「仕方ないでしょ。この子それしか食べないんだから」
「だからって一段丸々使うことねーだろ。なんか別のモン作れ」
「ねー、卵焼きばっか食べてると体に悪いよ? ほら、からあげ食べな。あと野菜もちゃんと食べて」
「人の話聞けよ!」
「はいはい、わかったわかった。アンタにはちくわあげるから」
「全然わかってねーじゃねーか!」

 そうは言っても、ころんと取り皿代わりの蓋の上にちくわを乗せれば、もくもくとそれを食べる黒髪くん。そうやって素直に言う事聞いてれば可愛いのに、彼の口は憎まれ口しか叩かない。
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