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濡れるカラダ《短編集》
第4章 同僚とサシ飲みの後で

「へぇ…。意外と綺麗にしてんのな」
「意外と、は余計だから!」
「はいはい。そんなに怒んなって」
社会人になり、初めて
自分の部屋に男性を招いた。
繁忙期が終わったらサシ飲みしよう、と。
とある休憩時間に交わした約束を、果たす時が来たのだけれど…
「へぇ…。お前、ワイン飲めんの?」
「うん…。ビールより好きなの」
普段、会社では見られないラフな成瀬を相手にすると…、どうにも調子が狂いそうになる。
「お疲れ。ハイ、乾杯」
「か、乾杯…」
冷蔵庫で冷やしておいた成瀬用のビールと、自分用のワイン。
二人分のグラスを用意していた時から、謎のドキドキが止まらなくて。
「適当につまめるもの買っといたから。好きなやつ開けろよ」
「うん…、ありがと。それじゃあ、遠慮なく…」
隣り合わせでソファーに座ったのは、間違いだったかもしれない…。
そう思いながら、ちびちびとワインを口にする。
「…つーかさ…。今日、泊まっていい?」
「…は…?」
「帰らなくて済むって思ったら、のんびり飲めるし。はい、決定」
「ちょ、ちょっとっ…!本気で言ってるの…!?」
成瀬が泊まる? 私の部屋に?
来客用に食器くらいは買ってあるとしても…、布団までは用意していないのに?
「心配すんなよ。取って食ったりしねーから」
「あ、当たり前でしょ…!バカ…!」
分かりやすく慌てる私を見つめ、クスクスと笑っている成瀬は「余裕」なのだろう。
社会人になってから、まともな恋愛すらしていない私とは、真逆で──。

