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愛の時間 ○○連発
第62章 見知らぬ男に抱かれる女

入学式は滞りなく式次第が進み、
退屈な時間がようやく終わった。
式場を出た瑠衣は、早速、母の弥生につかまった。
「この後、予定はないんでしょ?どこかで食事をして帰りましょうか?」
せっかく目立たぬように瑠衣が質素な服装を選んだと言うのに、
母親の弥生は、これでもかというほどの派手な和装で人々の視線を集めていた。
「お母さん、悪いけど先に帰ってよ
私、これから部活選びに行かなきゃいけないのよ」
「まあ!部活なんてお止めなさいな
ここは共学なのよ、今までとは勝手が違うんですから」
「だからこそ部活をしてみたいのよ
安心して、体育系はパスするから
それにほら、卒業後はお見合いした時に何か部活をしていた方が相手様からの印象が良くなると思わない?」
「それもそうかしらねえ…
じゃあ、なるべく目立たない質素な文化系を選んでね」
一緒に帰ってどこかでランチでもと考えていた母の弥生は
肩を落として一人で帰路についた。
母の弥生はしょんぼりしながら駅前の商店街で独りランチをしようとお店を物色していた。
「貴女もお子さんに振られたクチですか?」
弥生と同じように、並んでランチメニューのショーケースを覗き込んでいた男性が独り言のように弥生に視線を向けずに話しかけてきた。
「えっ?」
驚いた弥生が声をかけてきた男性に視線を送る。
そこにはロマンスグレーの紳士がにこやかな顔をして弥生を見つめていた。
「突然に声をかけられて驚かせてしまったみたいですね
私の息子もあの大学に入学しましてね、入学式で和装の貴女がずっと気になっていたんですよ」
「はあ…それはおめでとうございます」
挨拶だけして、そそくさにその場を立ち去ろうとした。
「今は晴れの日でも和装をする方がめっきり少なくなりましたね」
男は、足早に離れようとする弥生を執拗に追いかけてきて会話を続けようとする。

