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わたしの日常
第2章 夫の単身赴任
 今日もいつものように義父と交わる。事が終わりお互いの身体を愛撫しながら時を過ごす。

 「今日もよかったよ…」
 「わたしもです…」

 互いに絶頂に達した後の至福のひととき。

 「ちょっと相談なんだが」
 「なんでしょう」
 「悦子さんとこうして毎日過ごしていて幸せなんだが、どうも根が苦労性のせいか落ち着かないような気もしていてね。ほら『好事魔多し』なんていうじゃないか」

 その気持ちはわたしにもわかった。わたしにしても、いつまでこうして過ごしていていいのかふと不安な気持ちになったりもしていた。なんとなくぼんやりとしていて、スーパーでものを買い忘れてまた戻るなんていうこともあったし。

 「身体はまだまだ動くし、ちょっと職安でも覗いてこようかと思ったりもしていてね」
 「いいお仕事が見つかるといいですね…」

 そう答えてはみたものの、まさかとは思うが義父はわたしに飽きてきたのではないかとも思った。わたしは飽きてなどいないのだけれど…。

 「ただ、私としては悦子さんとこうして過ごしていたいという気持ちは確かなんだ」

 わたしの気の伴わない返事からわたしの心の動きを察したのか、打ち消すように言葉を添えてくれた。

 「だから、昼間は家に居られるような…たとえば夜警のような仕事でもあればと思っているんだよ。一仕事終えて、悦子さんとナニしてぐっすり眠るというのも悪くはないんじゃないか…ってね」

 確かにわたしたちが身体を重ねるのは、夫や娘が家を空けている昼日中だけ。

 「息子〈あいつ〉とはうまくやっているかい?」

 夜は夜で夫婦で過ごしているし、夫婦の『生活』もまったくないわけでもない。

 「お気遣いありがとうございます…」

 わたしは義父の胸板を掌で撫でながらそう応えた。

 「いまさらこんなことを言うのも済まないのだが…その、アイツにも悪い気がしたりもしてね…まあ、多少は…というぐらいではあるんだが」 

 それはわたしもそうは思っている。気持ちだけ…ではあるけれど。

 「まあ、悪い気がしているというのは頭の中だけのことで、身体のほうはそんなふうには思っていないようだけどね」

 わたしの掌の中で義父は再び堅さを取り戻している。

 「それはわたしも一緒です」
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