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わたしの放課後
第7章 恥ずかしい気持ち

「『耽美世界』は古本じゃなくて、新刊としてお店に置いてたね…。何ていったかな…。ああ、そうそう『希望書店』。そこの社長さんが『本を置いてくださいませんか』って本を持ってここまで来てね」
「『耽美世界』ってまだ発行されてるんですか」
「いや、もう、とっくになくなってしまったよ。何十年も前だね。気になったかな?」
「綺麗な表紙なんですけど、中身はぜんぜん違って。そのギャップが面白いな…って思って。なんとなく、手作り感があって、いいなって思います」
「恵子ちゃん、お目が高いね。『希望書店』は女の社長さんでね」
「ほんとだ。『発行人 重松芳子』って書いてあります」
「そうなんですね…」
「そうそう。懐かしいなぁ、重松女史。ああ、表紙も重松女史が描いてたんだよ。題字もね。年に4回出してたはずだからここのお店にもそのたびにね。おじさんがお店を開いてしばらくの頃だったなぁ。生きておられたらかなりのお歳だけどね」
「売れてたんですか?」
「5冊くらいもらって置いておくとね、数日くらいで売れてたよ。社長さんが次に来たときに『割と早く売れますね。少し増やしましょうか?』と言ったら、『とりあえず今のままで』みたいな感じでね。あまり商売っ気がない人だった」
「社長さんが自分で表紙も作って本屋さんにも自分で持ち込んでたってことは、すごくマイナーな雑誌だったってことですよね」
「そうだね。結局、5年くらいで廃刊してしまったんじゃないかな」
「『耽美世界』。気になります」
「お宝さがしのたのしみが増えたね」
「社長さんはどうしておじさんのお店に来られたんですか」
「趣味で立ち上げたような出版社だから、大手の本屋さんとの関係も無かったのだろうね。まあ、中身も中身だし。街を歩いていて置いてくれそうな本屋があったら、飛び込みでセールスしていたのじゃないかな。品のいい奥さまみたいな感じだったね」
「おじさんのお店、『置いてくれそうな本屋』さんだったんですね」
「昔からこんな感じだったよ。大きくもないし目立たないからね。こういう本を買いに来るにはよかったかもしれない」
「売れ行きもよかったのですものね?」
「『耽美世界』ってまだ発行されてるんですか」
「いや、もう、とっくになくなってしまったよ。何十年も前だね。気になったかな?」
「綺麗な表紙なんですけど、中身はぜんぜん違って。そのギャップが面白いな…って思って。なんとなく、手作り感があって、いいなって思います」
「恵子ちゃん、お目が高いね。『希望書店』は女の社長さんでね」
「ほんとだ。『発行人 重松芳子』って書いてあります」
「そうなんですね…」
「そうそう。懐かしいなぁ、重松女史。ああ、表紙も重松女史が描いてたんだよ。題字もね。年に4回出してたはずだからここのお店にもそのたびにね。おじさんがお店を開いてしばらくの頃だったなぁ。生きておられたらかなりのお歳だけどね」
「売れてたんですか?」
「5冊くらいもらって置いておくとね、数日くらいで売れてたよ。社長さんが次に来たときに『割と早く売れますね。少し増やしましょうか?』と言ったら、『とりあえず今のままで』みたいな感じでね。あまり商売っ気がない人だった」
「社長さんが自分で表紙も作って本屋さんにも自分で持ち込んでたってことは、すごくマイナーな雑誌だったってことですよね」
「そうだね。結局、5年くらいで廃刊してしまったんじゃないかな」
「『耽美世界』。気になります」
「お宝さがしのたのしみが増えたね」
「社長さんはどうしておじさんのお店に来られたんですか」
「趣味で立ち上げたような出版社だから、大手の本屋さんとの関係も無かったのだろうね。まあ、中身も中身だし。街を歩いていて置いてくれそうな本屋があったら、飛び込みでセールスしていたのじゃないかな。品のいい奥さまみたいな感じだったね」
「おじさんのお店、『置いてくれそうな本屋』さんだったんですね」
「昔からこんな感じだったよ。大きくもないし目立たないからね。こういう本を買いに来るにはよかったかもしれない」
「売れ行きもよかったのですものね?」

