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わたしの放課後
第1章 おじさんとの馴れ初め
 わたしはモヤモヤした気持ちで自分の部屋に入った。ベッドの上で青空市で買った…というか、ほとんどおじさんにもらったような古本を眺める。でも、ただ眺めているだけ…。母の声がした。

 『じゃあ、塾に行ってくるわね』

 今日は塾で授業をする日だった。仕事に行く割りには声が明るすぎるように思えた。家にひとりになってわたしは部屋を出てリビングを見回した。母の寝室も覗いてみた。特に変わったところはなかった。ふと、台所のゴミ箱を覗いた。丸めたティッシュペーパーがいっぱい捨てられていた…。

 『やだ…』

 やっぱりお母さんは浮気をしている…。わたしもオナニーするときはティッシュペーパーをいっぱい使うからそう思った。カレシとセックスしている姉の声も頭に甦ってきた。あの声を聴いた時には、あの姉があんな猫なで声を出すのかと思って苦笑がこみ上げた。でも、そのうちに声の調子が変わって、不意に呻いているような声も聞こえてきて、なんというか、『真剣勝負』が始まったような雰囲気が伝わってくると、聞き耳を立てているわたしはたまらない気持ちになった。

 母も彼と『真剣勝負』しているのだろうか。『浮気』だから『真剣』もなにもないのだろうか…。よくわからないまま、母が彼とこの家のどこかでセックスしているのを想像した。自分の部屋に戻ったけれど股間がうずうずしてとまらなかった…。

 おじさんに優しく愛撫されていると、うっとりとした幸せな気分になって、催眠術にかかったかのようについなんでも話してしまう。

 「そうなんだ。おじさんが恵子ちゃんと出逢った日にそういうことがあったんだね。お母さんは意外と『発展家』なんだね」
 「『ハッテンカ』…ですか?」
 「ああ、失礼。なんというか、交際範囲の広い人…みたいな意味なんだけど」
 「…そうでもない感じなんですけど、意外とさばけてるんだな…って思いました」
 「恵子ちゃんはそれからどうしたの?…」

 わたしはベッドに横になると本を抱いてオナニーした。母も姉もこの家でセックスしている。わたしも自分がセックスしているのを夢想した。相手は古書店のおじさん…。

 (また、おじさんに会いたい…)

 次の日、わたしは駅の掲示板に貼られたポスターで古書の青空市が毎週水曜日に開催されていることを知った。次回は祝日だった…。
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