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なりすました姦辱
第1章 脅迫されたOL

そんなこと言ったってどうしろってんだ?
いやいや、行く途中で元に戻るかも。
もし戻らず、およそ就活生には見えないオッサンが闖入したら、すぐに追い出されるに決まってるだろ──
頭が爆発しそうだった。
一人問答を続けていると、突然、手の中に握りっぱなしだったスマホが震えた。
表示は、『小田のクソ』。
誰だ?
そんな疑問は無意味だった。
自分の物ではない携帯にかけてくる人間のことを、詮索しても仕方がない。
それよりも……。
保彦は深呼吸をしてから、使い慣れた機種とは異なる操作に戸惑いながら電話に出た。
「よう、おはよう」
こちらが発声する前に、中年と思しき男の声が聞こえてきた。「今、大丈夫か?」
「あ、はぁ……」
大丈夫ではないし、相手の何をも知らないし、まずもって、自分が誰かすら知らないのだから、曖昧な返事をするしかない。
「外か? いま」
周囲の音が電話越しに聞こえたのだろう、「ああ、もしかして病院に行くところだったか?」
「いえ……」
「なんだ、違うのか?」
咎めるように小田の声が低くなったが、すぐに元の声調に戻され、
「ま、気分転換で外を出歩くのもいいんだろうけどな。といっても、君は休職中の身だ。会社の人間に見られてみろ、別に遊んでいなくても、いろいろ陰口を言われるかもしれない。ほどほどにしろよ」
「はい……」
「電話したのは、だ。休職中の社員には、組織長としては、定期的に連絡を取って状況を聞かなくっちゃならなくてね。どうだ? 調子は」
「……え、えっと」
何と言えばいい?
「医者は何て?」
「……」
どうやらこの男は病気を罹っているらしい。いま、頭の中はともあれ、肉体的な不調は感じられない。何を患っているか分からなければ、答えようがない。
「毎週通ってるんだろ? 心療内科」
困っていると、小田が勝手に答えを教えてくれた。
「……このまましばらく様子を見ようと言っています」
「薬は?」
「か、変わらず飲んでいます」
適当に答えると、そうか、と言って小田は黙った。
保彦はその間に、この男から何か情報を聞き出せないかと考えた。しかし何を訊けば良いか、どう訊けば良いか判断がつけられず、
いやいや、行く途中で元に戻るかも。
もし戻らず、およそ就活生には見えないオッサンが闖入したら、すぐに追い出されるに決まってるだろ──
頭が爆発しそうだった。
一人問答を続けていると、突然、手の中に握りっぱなしだったスマホが震えた。
表示は、『小田のクソ』。
誰だ?
そんな疑問は無意味だった。
自分の物ではない携帯にかけてくる人間のことを、詮索しても仕方がない。
それよりも……。
保彦は深呼吸をしてから、使い慣れた機種とは異なる操作に戸惑いながら電話に出た。
「よう、おはよう」
こちらが発声する前に、中年と思しき男の声が聞こえてきた。「今、大丈夫か?」
「あ、はぁ……」
大丈夫ではないし、相手の何をも知らないし、まずもって、自分が誰かすら知らないのだから、曖昧な返事をするしかない。
「外か? いま」
周囲の音が電話越しに聞こえたのだろう、「ああ、もしかして病院に行くところだったか?」
「いえ……」
「なんだ、違うのか?」
咎めるように小田の声が低くなったが、すぐに元の声調に戻され、
「ま、気分転換で外を出歩くのもいいんだろうけどな。といっても、君は休職中の身だ。会社の人間に見られてみろ、別に遊んでいなくても、いろいろ陰口を言われるかもしれない。ほどほどにしろよ」
「はい……」
「電話したのは、だ。休職中の社員には、組織長としては、定期的に連絡を取って状況を聞かなくっちゃならなくてね。どうだ? 調子は」
「……え、えっと」
何と言えばいい?
「医者は何て?」
「……」
どうやらこの男は病気を罹っているらしい。いま、頭の中はともあれ、肉体的な不調は感じられない。何を患っているか分からなければ、答えようがない。
「毎週通ってるんだろ? 心療内科」
困っていると、小田が勝手に答えを教えてくれた。
「……このまましばらく様子を見ようと言っています」
「薬は?」
「か、変わらず飲んでいます」
適当に答えると、そうか、と言って小田は黙った。
保彦はその間に、この男から何か情報を聞き出せないかと考えた。しかし何を訊けば良いか、どう訊けば良いか判断がつけられず、

