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なりすました姦辱
第3章 報復されたハーフモデル


 体の曲線に緩やかにフィットするニットは、クロスデザインが特徴的なオフショルダーのためにデコルテの多くを晒し、短い着丈はウエストを覆っていない。着る者の力量を測るようなデザインだ。自分は、着こなすに足るスタイルを持っているし、着こなすに足るルックスも持っている。だからこそ、当然と着こなせることを職務とする、モデルという仕事を選んだのだ。

「──うあぁっ、ああっ、拭いてっ……ちょおぉっ、めっちゃ体に付いてんじゃんっ!! 拭いてってばっ……おいっ、マジで拭けよっ……ああもう、最悪……、きたない……きたないっ! ……もういやだっ、いやぁっ!!」

 真璃沙は全身の関節と筋肉を悶絶させ、鎖の鳴り音とともに錯乱気味に叫んだ。

 ビシャッという衝撃を喉元に受けたときには、何事が起こったかと思った。

 直後にから寒慄を誘う感触が、首すじを垂れ落ちてくる。下肢へと目を向けると、無理矢理開かされている股ぐらを砲架とした肉棒から、人間の生理現象と信じられないほど壮絶な勢いで、白濁の凶弾が容赦なく空中へと発砲されていた。

 鎖骨まで飛んできた大粒が透明の薄い膜を引きずりつつ肌面の坂道を垂れ落ち、相次いで襟口より服の中へと流れ込んでくる。腹肌に着弾したものは重力によって何条もの筋を作り、ウエストの肌面を伝って後ろ側にまで這っていた。これらは肌に直接降りかかっているからこそ触覚として感知できるのであって、胸元を見下ろせば黒のニット地には夥しい数の白濁が粘糸を伸ばしており、何より、己が身から立ち昇ってくる精臭が、否応なく自らの体の惨状を真璃沙へ伝えていた。

「ちょっと騒ぎすぎじゃん? ぶっかけられたくらいでさ。てか思いっきりザーメンかぶっちゃって、どうやって帰んだろ、このバカギャル」

 運転席から広瀬さん──汐里と呼ばれていた女が、先ほどまでの険ばかりあるものから、やや上気した声色で言った。

「今日はレッスンに行くって言ってたから……」
 隣の古宮さん──涼子と呼ばれていた女が、瞳を充血させながら足元に置かれていたリュックの口を勝手に開け、「やっぱり着替え持ってるわ。派手なばかりで品のないトレーニングウェアだけど、裸よりはましね」
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