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なりすました姦辱
第3章 報復されたハーフモデル
 保彦はその新人奴隷を使い、愛梨を、かつて一緒にアルバイトをした会計事務所近くの大きな公園に呼び出したのだった。よく、仕事帰りに二人で散歩をした公園だった。

 距離を置いて追いていってみると、愛梨は木立が日陰を作っているベンチに、ハンカチを敷いてから腰掛けた。スマホに何か入力している。おそらくは真璃沙へ、居場所を報せるメッセージを送っているのだろう。

 しかしながら、真璃沙は来ない。
 やって来るのは、不幸にも中年男の体に宿ってしまった恋人である。

 愛梨のことだから、可愛がっている従妹から「どこそこで会おう」という旨のメッセージを受け取ったら、どこにでも来てくれただろう。カフェやレストランでも良かったろうし、ショッピングモールや図書館でも問題はなかったはずだ。

 ただ、人が多すぎる場所だと、非現実的な話を伝える際に周囲の目を気にしなければならないし、少なすぎる場所だと、この土橋の姿に愛梨が不安がる。保彦はちょうどいい場所を考えた結果、この場所を選んだのだった。いざ当日になってみると、平日の昼下がり、麗らの陽が注ぎ、気温もちょうど良く、ベンチで本を読んだり、犬の散歩やランニングをしている人々がそこそこいる、目論んだ通りのシチュエーションとなってくれた。

 空いていれば間違いなくそのベンチを選ぶだろうな、と思っていた。二人でデートをする時、森を渡る鳥や少し奥の池、その更に奥のビル群を見渡せ、しかし視界の上半分は青空となるベンチが、愛梨のお気に入りの場所だったからだ。

 一旦傍らに置いていたカップキャリアから一つを取り上げ、透明の蓋を開けている。もう一つは真璃沙のものだろう。真璃沙がベンチに敷くためのハンカチも、愛梨は用意しているに違いない。

 だが、真璃沙用に購入したドリンクと、愛梨がまさに手をつけようとしているものとは、歴然とした差があった。遠目からでも、ホイップクリームの量も、掛かっているシロップの量も違う。見ただけで胸やけを起こしそうな盛り盛り仕様を、脚を伸ばしてブーツのつま先を上げ、ワンピースの太ももの上でカップを支えて、プラスチックスプーンを淡色のリップの間に運んでいる。
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