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なりすました姦辱
第3章 報復されたハーフモデル
 真璃沙でなくても誰でも、待ち合わせに後からやってきて、愛梨と同じものが用意されていたらたじろぐだろう。愛梨もそれをわかっているから、人のために用意しておくものは別のものにしており、保彦の場合は大抵はシンプルなデカフェコーヒーだった。

 前に、このベンチで、心配になるカロリーをやんわりと指摘してみると、

「せっかく来たんだから、我慢せず飲みたいものを飲んだほうがいいと思うの。保彦くんは、私が我慢して辛そうにしてるのと、好きなもの飲めて幸せそうにしてるの、どっちがいいの?」

 と、懐具合に不安を持つ人や、体重計の宣告に恐怖する人が聞いたら激怒しそうな発言をしたが、あまりに可愛すぎて、それ以上何も言えなかった。

 愛梨は小さな口に何度もスプーンを運んでご満悦だったが、一度、カップを脇に置いて、もう一度スマホを手に取った。時間を過ぎても真璃沙が来ないので、メッセンジャーアプリを確認しているのだろう。

 視線が下を向いている間に、保彦は土橋の体を木陰から愛梨の近くに移動させた。

(愛梨……)

 待ちに待った生身の恋人は、あまりにも眩しかった。
 ベレー帽から出した髪を耳に掛けている仕草さえ愛くるしい。

 近づくにつれて胸が高鳴る。
 初めて会ったとき、何故にあんなにも気軽に声をかけることができたのだろうと、甚だ不思議だった。

「あの……」

 なるべく、清爽とした声を心がけたが、土橋の地声では全く話にならず、しかも緊張していたから喉が絡んだ。

 愛梨が顔を上げる。
 普段から唇の形は仄笑みの弧にしている表情が、一瞬にして曇った。

 土橋の一着きりのスーツはくたびれすぎて、スーツという着衣が持つ本来の役割をまるで果たせていなかったから新調していた。金銭的な心配のなくなった土橋だったが、時間のかかるオーダースーツとはいかず、量販店で買ったものであるものの、見た目の不利は随分と緩和されているはずだ。シャツもシューズも新しくし、僅かな髪を伸ばしっぱなしのみすぼらしい禿げ頭も、ひと思いに床屋で丸刈りにしてもらった。髭もきちんと剃ってある。

 そうしてできるだけの努力をしたわけだが──、愛梨の顔は曇った。

「高階、愛梨さんですよね」
「え……、……はい」

 眉が少し寄る。浮かんでいるのは、怪訝、不審、不可解……、一つとてポジティブなものはない。
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