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なりすました姦辱
第4章 隔絶された恋人
 土橋の片足が上がる。

「土橋さんっ……」

 真璃沙のほうへと降ろされる前に、呼びかけた。

 土橋には、ティーンへの趣味がどれくらいあるのだろうか。
 今日、自分が指示されたように、真璃沙にも指示されたのであろう、彼女のいでたちを見ているだに不安になる。

 自分が姦されたときの一瞬々々の詳さな記憶までは、あれだけの悦楽に陥らされては憶えているはずもない。が、真璃沙が姦されたときは、すぐ隣で助手めいたことを務めていたし、自慰に耽っていたとはいえ土橋を精一杯サポートするため陶酔まではしてなかったから、よく憶えていた。

 果たして自分は、あんなにも粘着質に、姦されただろうか。

 そもそも自分は、周到な罠に落とされて淫獄へと導かれた。なのに真璃沙に対しては、実行計画を聞いただけでもリスクがいくつも思い浮かぶような作戦が強行された。上級管理職を務める女への陵辱は、絶対に失敗したくない、だから万全を期したのだ。そう言えば聞こえはいいが、もしかしたら土橋は、極めて危険な橋を渡ってでも、早く十代の若い体を我が物にしたい、とにもかくにも姦したい、抑えきれない熱望に突き動かされていたのではないだろうか。

 斜向かいの、短いスカートから惜しげもなく出された脚肌……あれを持っていたのは、自分はもう、二十年以上も前だ──

「……あの、お話がございまして、こちらにいらしていただけますでしょうか?」

 そっちに行かせるわけにはいかなかった。
 涼子はカウチソファの自分の隣へ、そっと手を置いた。

 何も大きな賭けに出たわけではない。
 自分の半分以下の年齢の、モデルの女を差し置いて、土橋がこちらへとやってくる充分な勝算があった。

 果たして土橋は、真璃沙ではなく、涼子のほうへ歩を進めて隣に座してくれた。

 勝った……揃えている太ももの奥地が疼く。
 しかし何事も、勝ち切らなければならない。結果とはそういうものだ。

 背凭れを使うことなく背すじを伸ばし、折った長い脚を斜めに揃えていた涼子は、土橋のほうへ向いて、一層居住まいを正して座り直した。

「なんだ? そんなに畏まらなくてもいいぞ」
「いいえ、大切なお話ですので。……せっかくこういった場所をご用意いただけたのであれば、ゆっくりお話しできる、大変よい機会だと思いまして」
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