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なりすました姦辱
第4章 隔絶された恋人
 真璃沙は金ボタンとパイピングが映える濃紺のブレザーにホワイトのカーディガン、ブラウスには臙脂色のリボンタイ、下肢は丈を攻めたモスグリーンチェックのプリーツスカート、ナマ脚をふんだんに披露した末の足元にはスクールソックスとローファーまで身につけた自分の体を、両方の人差し指で脇から腰まで往復させた。

「さすがに似合ってるな」
「ったりまえじゃん。ついこないだまでフツーに着てたんだもん。てかさすがに、この季節にフル装備はあっちーって」
「冬でもこんな短いスカートで通ってたのか?」
「え、フツーだし。みんなこんな感じっしょ? あ、オッサンたちに期待させて悪いんだけど、見せパンとかスパッツ履いてる子ばっかだから。あんまし寒みい日はタイツ履くし。……まぁ、朝めんどくて見せパン履かん日もあったけどさ……、さてー? 今日はどっちでしょー、見る? 見たい?」

 脚を組んでいるために一層上がっている裾を摘み、はためかせてみせた。うかつに挑発してしまって、いきなり襲い掛かられても、別に構わなかった。

 土橋に、制服姿を指示されたとき、案外普通のお願いが来たな、と真璃沙は思った。結局、男は皆──特に中年の男は皆──JKが好きなのだ。

 別に渋谷や原宿ではなく、千葉や船橋みたいなところであっても、高校の制服を着て歩いているだけで、周りの態度は変わった。よくよく見てみれば普通の子が、自ら選んだわけではなく学校の決まりで着せられてるだけなのに、ちょっと得意げに街を歩いている。制服姿は、未成熟を可能性という言葉に転化し、軽はずみな行動はトレンドとして昇華されて、何もかも許され、持ち上げてもらえるアイコンだった。

 自分だって、ただの「#激カワハーフ」ごときでは、あそこまでバズらなかったろうと思う。それほど、「#JK」というワードは強力で、そういう期間限定の特別な存在にエロさ感じるという、甚だ気色悪いことを考える男もまた、真璃沙の視界にはうようよと入ってきたのだった。特に、金を払うことでそれを満たし得るオトナたちはその衝動が強く、実際、SNSでも声をかけてくる奴は多い。現実生活が充実していないか、してるのにそこで満足できない子たちが、ほいほいと引っかかってしまうのも目の当たりにしてきた。
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