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なりすました姦辱
第4章 隔絶された恋人
 あの子たちはいま、どうしているのだろう。まさかインチキJKに扮し、まだ街を練り歩いているとは思わないが、下駄を履かせてくれていた制服を失って、何を頼りに誇らしさを満足させているのだろう。もしかしたら、卒業後はモデルとして活躍しつつある同級生のSNSへ、サゲコメントをぶっこんできている連中に紛れているのかもしれない。

 真璃沙はそんなカワイソウな子たちを思い出して、恵まれた肢体を見せびらかす高揚感を増幅させつつ、ヒップの終わりから大して隠せていない丈の裾を靡かせた。今日選んできた、なまじの子では履きこなせないだろうドギツめのピンクのショーツは角度が強め、腰骨あたりは二本のストリングだけのデザインなので、小麦色の肌が太ももの付け根よりはるか上まで見えてしまっているだろう。

 つまり正解は一目瞭然なのだが、

「制服って、高校の思い出に取っておくものじゃないのか?」
「……。だーかーらっ、オッサンが着て来いっつったんじゃん。ボケた?」

 土橋は、なかなか手を伸ばして来なかった。

「別にドンキとかで買えばよかったろ。何も本当に着てたやつじゃなくても。だいたい持って来いとは言ったが、着て来いとは言ってない」
「……。ま、それは……、そうだけどさ」
「なのにわざわざ本物の制服を着てくるってことは、真璃沙も望んでる、ってことでいいんだな?」
「望むって?」
「さっきから、中年のチ×ポをチラチラ見てきてる、ギャルJKに訊いてるんだ」
「……っ」

 摘まんでいた裾をパッと離し、組んでいる脚の付け根を抑えてしまった。

 ミニの前布を内ももに挟み込ませると、中が熱くなっているのがわかる。耳も、同じくらいに熱い。

 今まさに、インチキJKに扮してしまっているが、もともと自分は、下駄を履く必要のない人間なのだ。

 昨日、二次審査も通過したという連絡があった。

 まだもう一回審査があるので出演決定ではないが、もし出演者に欠員が出た場合の補欠候補には、必ず名前が載ることになる。電話で喜びと感謝を伝えたトレーナーの声は、少し涙ぐんでいるように聞こえた。隣で聞いていた事務所の人たちも、拍手を電話口に添えてくれた。祝いの言葉をかけてくれる先輩モデルたちが、裏で何を言っているか知れたものではないが、そんな憂慮を感じさせられることじたいが、真璃沙の自己肯定感を著しく高めてくれていた。
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