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なりすました姦辱
第4章 隔絶された恋人
 そこには、どこの惑星からやってきたんだという全裸のゴリラが立っていた。駐車場で汐里を降ろし、少し時間を置いてから後を追い、ペントハウススウィートの前でスマホからメッセージを入れると、「控室」として設定されていたリビングの隣の部屋まで迎え入れてくれたのが、この男だった。

「須賀さん、この度はご結婚、おめでとうございます」
「え、はあ、……ありがとうございます」

 確か草野と名乗っていたろうか、男が祝辞を述べてきた。全裸とは失礼どころか非常識……どころか奇矯極まりないが、真正面から力勝負をしたら絶対に勝てない、隆々とした体躯をしているゴリラを下手に刺激したくはなく、そもそも他に何とも言いようがないので礼を言うと、

「いやぁ、あんなに美しい奥様を射止められるなんて、羨ましい限りです。そんな好男子たる須賀さんに、ひとつ、折り入ってお願いがあるのです」
「……お願い、ですか?」

 草野は毛むくじゃらの体をまっすぐにして、体育会系丸出しの気をつけの姿勢で畏まった。

「はいっ。あの、実は私と、私のパートナーのことなのです。……私、恥ずかしながら、じょ、女性器と性行為をすることができない体でして」
「はあ……、女性器」
「はい、そうです。ですのでどうか私の代わりに、彼女の女性器にペニスを挿入し、射精をしてやって欲しいんです。彼女は精液をかけられることで性的興奮を覚える嗜好の持ち主なのですが、どうしても、私は女性器の中だけは、かけてやることができません。しかし教師としては……いやっ、彼女の身を心から案ずる一人の男としては、彼女の望みを叶えてやりたい、そう考えているのです」

 情報量が多すぎだが、要するに、代行セックスをしてくれ、という意味に解釈できた。しかも、中で射精しろ、と言っている。

「いや……、それはさすがに、マズいんじゃないですか」
「もちろん、奥様には絶対に内緒にさせていただきます。……それに、須賀さんにもお好みはあろうかとは思いますが、何といっても彼女はモデルですよ。世間にそうそういない、それはそれは美しい女の子です」
「そ、そういうことではなく、中で、だなんて、もしものときの責任が……」
「いいえ、万一のことがありましても、私が責任をもって対処いたします! 須賀さんには、ご迷惑はおかけしませんので、なにとぞ……」
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