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なりすました姦辱
第4章 隔絶された恋人
「ちょっ……なにすんだよっ!」
「……う、と……う、あ、セ、セセ……、セックス」
「はぁ!? するかっ、ボケッ! てか勝手に触んなっ、どっか行けよっ!!」

 ほらね。

 「オタクに優しいギャル」みたいな創作があるけれども、現実はこう。むしろ現実がこうだから、ああいう見た目はギャル、中身は天使みたいなキャラが創り出されるのだろう。真璃沙は、見た目はギャル、中身もゴリゴリのギャルのようだ。こんなに精液まみれの装をしているくせに、自分のような奴には、敢然と汚い言葉で罵ってくる。

(やっぱ涼子さんのほうがぜんぜんいいや。草野さんに謝ろう)

 消沈した郁夫が、真璃沙の脚を離そうとした時だった。

「はよ離せってのキモブタッ!! んなブサい見た目してんくせに、アタシの視界に入ってくんなっ! つか、しゃべりかたもキメぇわっ!」
「……うっ」

 草野の暴虐に対する怒りも上乗せされた真璃沙の罵倒が、郁夫に、中学の時のことを思い出させた。

 そう、同じようなことを言われた。もっと酷い言葉を言われたこともある。受けた暴力は言葉だけではない。そして、その暴力を行使したのは、男子生徒だけではなく、連中とツルんでいた女子生徒……だいたいが、ノーマルな制服は着ておらず、髪色も明るくして、目鼻ばっちりの化粧をした……ヤンキーというか、こういったギャルだった。どういうわけか、カーストの上位にいる女たちだ。

 目の前の真璃沙は、高校性の恰好をしているし、当時の女どもに比べるとスーパー上位互換だけれども、と、いうことは、間違いなく、カーストの最上位に君臨し続けてきたにちがいない。

 同年代である。
 あの、自分が一番辛かった時期と、同じ時期に……。

「ふぎゃあぁっ!!」

 郁夫は突然奇声を発せられて固まる真璃沙の体を裏返し、ブレザーとカーディガンをひとまとめに、肩から無理矢理に外した。暴れられるが、宿怨が郁夫に愚鈍さを克服させていた。グイグイと背中から剥がすものの、袖は肘のあたりまでしか抜いてやらない。これをやられると、カーディガンの前はボタンで留まっているし、ブレザーの厚い布地のせいで、両腕が固まって何もできなくなる。やられたからこそ知っている。

 再び表返した郁夫は、真璃沙の前に仁王立ちになった。

「おい……、ちょ、お前なんなん……」
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