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なりすました姦辱
第2章 制裁されたシングルマザー
「ほんと!? いつでも来てくれるの?」
「うんいいよ。今度は別のゲーム持ってこようか」
「やった! ね、ママ、郁夫兄ちゃん、すっごいゲームうまいんだよ!」

 俊介に対しては、言葉に詰まることはない。

 むろん、遅くなることが多いから、郁夫が俊介の面倒を見てくれるのは、ありがたく思わなければならないところだった。だが契約にも謳われているので、遅くなる日はミヨさんに延長を頼めるし、ほとんどの場合は了承してもらえる。連絡がなくとも、ミヨさんは快く涼子が帰るまで残ろうとしてくれる人である。今日、すでにミヨさんが帰宅しているところをみると、郁夫が半ば無理やり帰らせたのだろう。

「ほんと、いつもありがとう。でもね、郁夫くん、ちゃんと勉強しなきゃ」
「だ、大丈夫。き、気分転換、だよ」
「だめよ、あんまりサボって兄さんを心配させたら」
「りょ、涼子、さん、ぼ、僕のこと、しっ、心配して、くれるの?」

 こめかみから耳までを真っ赤にしている。
 緊張……ではない。シャツに丸みを浮き立たせる腹の膨縮に合わせ、小鼻が広がっている。目線が顔ではなく、顎よりも下へ向けられてきている。

 いつか、ミヨさんが帰りがけに、きょろきょろと周囲を窺って俊介が聞いていないことを確認してから、密め声で伝えてきた。

「差し出がましいことで、ご不快であれば申し訳ありません。郁夫様のことなのですが……」

 言うか言うまいか、自分の思い過ごしではないのか、散々悩んできたような表情だった。

「あのですね、その……、郁夫様を、よくお風呂場でお見かけすることがあります。それから……、古宮様の寝室でも。古宮様のお洋服を探してらっしゃるように見えました」
「服?」
「たぶん、お下着を」

 前から、クローゼットの引き出しケースに仕舞っている下着が、いくつか減っていることには気づいていた。数は多くとも自分の持っている下着くらい、全てが頭に入っている。引き出しを開けた際、一見変わっていないように見えても、一つ一つを手に取れば、アレはどこへ行ったのだろうと気づくことができる。ショーツだけではない、ブラも、行方不明になっているものがある。キャミソールですら。

 犯人は郁夫くらいしか考えられなかったが、身内を疑いたくない気持ちが働いて、涼子の中で有耶無耶にしていたのだった。
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