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なりすました姦辱
第2章 制裁されたシングルマザー
 そして、ミヨさんによって郁夫の容疑はほぼ確定的となり、改めてゾッとした。

 ミヨさんがいなければ俊介もいないのだから、郁夫が家に入ってくることはない。ミヨさんがいる、ということは、洗濯籠に入れてある着用済のものは、郁夫が来た頃には、とっくにミヨさんによって洗濯されてしまっている。

 それくらいの論理構造が理解できないわけがないだろうに、それでも、郁夫は脱衣所を漁らずにはいられないのだ。

 それほどまでの妄執に、囚われているのだ──

「余計な心配をさせてしまってごめんなさい。あの年頃だから……、たぶん、しかたないのよ。ミヨさんがしっかり洗ってくれてるものだし、ときどき、なんだと思う」
「よろしいのですか?」
「クローゼットに鍵をするわけにもいかないしね。こんなオバサンじゃなくて、もっとちゃんと若い子に興味を持つようになったら……、収まるでしょ」

 ミヨさんの心配は晴れないようだったが、涼子がそう言うと引き下がってくれた。その後も事が大きくならないように、家にいるときは見張ってくれているのだろう。ミヨさんには負担をかけてしまって申し訳ないが、なまじ鍵をつけたり、場所を変えたりしたら、更なる問題行動を煽ってしまいかねない。

 今、「自分を心配してくれているのか」と見つめてくる郁夫の目つきは、どう考えたって、身内へ向けるものではなかった。

「それは、当たり前でしょう……? 叔母、だもの」

 本当に身を案じている叔母ならば、視線に悪寒を感じたりはしない──

 甥の眼差しは、年々と油断のならないものになっていた。




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