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第7章 情報収集の結果

この高級住宅街に最も相応しくない住宅。実際、仕様は、三愛ホームの店舗用仕様に限りなく近い。それが三愛ホーム施工の新藤家。

関が思い出したのは、会社へのクレーム。近隣の自治会や住民、各種団体、最後は市役所の建築指導課まで。第一種低層住居専用地域のど真ん中に店舗仕様の住宅を建てたばかりに、クレームが会社に入る事態になったのだ。

そもそも、新藤家は、ペットが多い高級住宅街ということもあって、そのど真ん中で動物病院を開院するつもりだった。それは、営業担当の駿河からも、上司で課長の関にも、さらに上の上司の営業所長にも報告はされておらず、営業担当の駿河と新藤家だけで、ことを進めていた。あとは、精々、不動産売買仲介をした三愛不動産販売の担当者くらいが知っていたようだった。

建築が始まるや『建築協定違反』と地元自治会や、隣接する自治会、自治連合会、PTA、社会福祉協議会、そして住人などから市役所の建築指導課や都市計画課、さらに、三愛ホームのお問い合わせ窓口にまでクレームの電話が殺到し、関が対応に追われた。あの苦い思い出が蘇った関。

あのときの。馬鹿ども。

担当の駿河は、あれ以来、住宅事業本部から睨まれ、年齢的および成績からすれば主任、係長になっても不思議はないのだが、平社員の留め置かれている。関自身も、神戸支店の住宅営業2課の課長に据え置かれ、同期の出世頭だったはずが、数人に追い抜かれている。

話したくない気分になったが、聞き込みが重要と、

「最近はどうですか？」

と、様子をうかがうと、

「そうね。いろいろあったけど、一段落したわ。旦那がここに固執しなければ、あんな騒動にならなかったのにね。あのときは、ご迷惑をおかけしたわね」

と、一応、殊勝な言葉が返ってきて、安心した関。