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第8章 情報分析会議

「それも酷い話だな。俺がストレスで立たなくなった時の原因も女性だった。取引先の資産家の老人が亡くなって、40歳くらいの娘が資産を継承し、『相続税の納税のために土地を現金化したい』と頼まれた。ちょうど、バブル崩壊と重なった。当初、俺がつけた売値では売れなくなった。何度も状況を説明して、2割ほど価格を下げて売り抜けること勧めたが、応じてくれなかった。あっという間に、半値でも売れなくなった。そのことで、その女性に責められた。バブル崩壊という時代のうねりの前で、打つ手はなかったが、納得してもらえず、裁判沙汰になった。会社からも、『もっと丁寧に説得していれば』と言われたが、聞く耳を持たない人間に、どう丁寧に説得するのか？という思いしかなかった。最後は、会社からも責任を問われて、解雇され、自分で会社を立ち上げて、今に至っている。今はそれなりの規模の会社になったから、あの時の傷も癒され、精力も取り戻せたが」

と、ストレスの一言で説明を終えていた重村が、そのストレスについて話した。誰しもが苦労して生きていた。そして、生きていくうえで、精神的にツラいのは、承認されないことだということは、それぞれが身に染みて感じていた。

「今、あの女性も、私たちのあの頃と同じような境遇だと思います。だから、認められたいのでしょう。自分は女なのだと。だから、あんなムチムチの格好で、ホームセンターやニトリの店内に現れ、我々のような男の視線を集めることで、自分は男たちから女として見られているという事実を確認することで、承認欲求を満たしているのだと思います。それで、感じてしまって、ショーツを濡らしたのは、想定外だったかもしれませんが」

と、最後は笑った反町。

「そういうことかもしれませんね」

と、頷く斎田。