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愛の笛
第12章 プロポーズ

白木葉子が日本政府の特別航空機で帰国して一週間が経とうとしていた。

脳外科で有名な大学病院に収容されてから、葉子は意識を取り戻したが記憶を失っていた。
彼女の両親も故郷から駆けつけ、彼女の名を呼び抱きしめたが「あの…どちら様でしょうか?」と両親の顔さえ忘れてしまっているようだ。

「何であなたは葉子を一人にしたのよ!」

僕が彼女に部屋を提供したばかりに、このような事故に巻き込んでしまって申し訳ありません…
深々と葉子の両親に頭を下げる草薙に、葉子の母親はこれでもかと草薙の背中を叩いた。

「よしなさい、彼にも急に天候が荒れるなんて予測もできなかったのだよ、これは不幸な事故なんだ。
誰かを責めたところで葉子の記憶が戻るわけではないんだから」

葉子の父親は取り乱す妻を必死に宥めた。

もっと早く…もっと早く洪水に気がついて葉子の元に駆けつけることが出来たなら…
草薙にしても、ずっと後悔に苛まれていた。

「彼女の記憶喪失は一時的なものだと思われます
まあ、いつ記憶を取り戻すかというのはわかりかねますが…
明日にも記憶が戻るかもしれませんし、一年、いや、10年かかるかもしれませんし…そこは忍耐強く彼女の回復を待つことにしましょう」

脳というものは厄介なものでしてね…
現代医学でも理解不能な部分があるのですよと
担当医は曖昧な言葉で濁した。

「どうされます?記憶の事以外、体はいたって順調に回復しております。
できればご家庭に戻られて日常を暮らすことで記憶の回復が早まるかもしれません」

「私たちが付き添ってあげられれば一番いいのですが…
私も家内も職場を永きに渡って休めないのです…」

年齢的にご両親とも職場ではそれなりのポストに就いているのだろう、どうしたものかと思案していた。

「なら、僕が…僕に葉子…彼女の面倒を見させてください!」

こうなったのも自分に責任があるからだと、
草薙は葉子の介助を申し出た。
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