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誰にも言えない、紗也香先生
第3章 謎の女、ファンタシーの扉

***
ハイヤーの車が静かにアパートの前、小さな公園の影へ戻ってきた。
川沿いの幻想は、もう現実に戻るはずだったのに……
深夜を待つあいだ、ふたりの天使は時間を「潰す」のではなく、甘く溶かし合っていた。
後ろ席、カーテンの隙間から覗く街灯の光が、まるで月のリボンのようにふたりを縛っていた。
「ねぇ、声……外に漏れてるかもよ?」
リザがわざとらしく耳元で囁く。
「えっ!?」
私は反射的に口を押さえたけど、彼女の肩がクスクスと震えていて、もうバレバレだった。
「もう、リザのバカっ……!」
言いながらも、息が混じるような笑いが止まらない。
「そんな顔、可愛すぎて…もう我慢できない」
後部座席は、またもやふたりの楽園へと舞い戻る。
ガラス越しに映る月の光が、まるで舞台照明みたいにきらめいて、
リザの指先が、まるで魔法のように私の輪郭をなぞってくる。
──そのあと、どうやって裸でアパートに戻ったのか、
ほんとうに……今も思い出せないの。
エントランスをすり抜けた記憶も、廊下の音も、鍵の回る音すら。
ただ、最後に覚えているのは、
リザが私の頬にキスを落として、
「今夜のあなたは、まるで夢ね」って、
囁いたことだけ──。
そして、私の心はひとつ、確かに思っていた。
「この夢なら、ずっと醒めなくても、いい」
ハイヤーの車が静かにアパートの前、小さな公園の影へ戻ってきた。
川沿いの幻想は、もう現実に戻るはずだったのに……
深夜を待つあいだ、ふたりの天使は時間を「潰す」のではなく、甘く溶かし合っていた。
後ろ席、カーテンの隙間から覗く街灯の光が、まるで月のリボンのようにふたりを縛っていた。
「ねぇ、声……外に漏れてるかもよ?」
リザがわざとらしく耳元で囁く。
「えっ!?」
私は反射的に口を押さえたけど、彼女の肩がクスクスと震えていて、もうバレバレだった。
「もう、リザのバカっ……!」
言いながらも、息が混じるような笑いが止まらない。
「そんな顔、可愛すぎて…もう我慢できない」
後部座席は、またもやふたりの楽園へと舞い戻る。
ガラス越しに映る月の光が、まるで舞台照明みたいにきらめいて、
リザの指先が、まるで魔法のように私の輪郭をなぞってくる。
──そのあと、どうやって裸でアパートに戻ったのか、
ほんとうに……今も思い出せないの。
エントランスをすり抜けた記憶も、廊下の音も、鍵の回る音すら。
ただ、最後に覚えているのは、
リザが私の頬にキスを落として、
「今夜のあなたは、まるで夢ね」って、
囁いたことだけ──。
そして、私の心はひとつ、確かに思っていた。
「この夢なら、ずっと醒めなくても、いい」

