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誰にも言えない、紗也香先生
第3章 謎の女、ファンタシーの扉

なにやってるのーっ、と遠くから聞こえた、かすれたホームレスの声。
ふいに近づく足音に、私たちは目を見合わせ、裸足のまま笑いながらハイヤーへと駆け戻った。
パンプスだけ履いた、天使みたいな二人がドアを閉めた瞬間、後部座席にふわっと笑いが弾ける。
車が静かに発進し、夜の川沿いを離れていく。
だけど──あっ…!
「服、ベンチの上に置いてきた……!」
その瞬間、笑い声が今度は二人同時に止まり、目を見合わせたあと、吹き出すようにまた笑った。
「どうすんのよ、も〜!」
「いいじゃない。代わりに、あなたを包むのは……私の腕よ」
リザはそう囁いて、私をそっと横に倒す。
車内のランプはぼんやりと灯り、まるで舞台のように静かに私たちを照らしている。
肌に伝わるのは、革シートの冷たさよりも、リザの掌のあたたかさ。
「シートベルト……じゃ足りないね、あなたには」
とびきりの悪戯っぽい声でそう囁くと、リザの髪がふわりと私の頬にかかる。
彼女の唇が、軽く私の鎖骨を撫でるように落ちた瞬間──
世界は、夜の街でも川でもなく、
私とリザだけの、小さな秘密の楽園に変わった。
ふいに近づく足音に、私たちは目を見合わせ、裸足のまま笑いながらハイヤーへと駆け戻った。
パンプスだけ履いた、天使みたいな二人がドアを閉めた瞬間、後部座席にふわっと笑いが弾ける。
車が静かに発進し、夜の川沿いを離れていく。
だけど──あっ…!
「服、ベンチの上に置いてきた……!」
その瞬間、笑い声が今度は二人同時に止まり、目を見合わせたあと、吹き出すようにまた笑った。
「どうすんのよ、も〜!」
「いいじゃない。代わりに、あなたを包むのは……私の腕よ」
リザはそう囁いて、私をそっと横に倒す。
車内のランプはぼんやりと灯り、まるで舞台のように静かに私たちを照らしている。
肌に伝わるのは、革シートの冷たさよりも、リザの掌のあたたかさ。
「シートベルト……じゃ足りないね、あなたには」
とびきりの悪戯っぽい声でそう囁くと、リザの髪がふわりと私の頬にかかる。
彼女の唇が、軽く私の鎖骨を撫でるように落ちた瞬間──
世界は、夜の街でも川でもなく、
私とリザだけの、小さな秘密の楽園に変わった。

