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誰にも言えない、紗也香先生
第4章 彼の初めての「答え」
「じゃあ今日は、文法から始めましょうか……?」

彼の前に座った私は、プリントを机に広げながら、
何気なく彼の顔を覗き込んだ――その距離は、ほんの数十センチ。
まっすぐな目。少し汗ばんだ額。そして、膝の上に置かれた手。
その手が、短パンの布越しに何かを隠すように握られていて、
思わず、私は微笑みそうになった。

(真面目な顔して……ふふ、隠してるのね)
彼のそんな姿が、どうしようもなく愛おしい。
いたずら心がふくらんで、私はそっと、指を伸ばす。
彼の人差し指に、自分の指先をふれてみる――触れそうで、まだ触れない。
顔も、あと少し近づけば、唇が重なりそうなほどに。

「……次は、読書」

私はそう言って、プリントを手に、静かに読み上げる。
英語の構文と、私の息づかいが、空間に絡み合う。
そこへ――背後から近づく足音。

彼は無言のまま、私の背後に回り、声には出さずにページをのぞき込んでくる。
けれどその視線よりも、もっと深く、もっと優しく感じるものがあった。
肩甲骨のあたりに、猫のような手つきでそっと触れる指。

(あ……だめ、気持ちいい……)

「つづけて」と、彼の声が耳元に落ちた。
その低い響きに、声を詰まらせながらも、私は読みつづける。
彼の指が、鎖骨を、肋骨のカーブを、
まるで迷子の子猫が帰り道をなぞるように、静かになぞっていく。

ページを読みながらも、
私の声が、少しずつ震えていくのが、自分でもわかる。
甘い息と、抑えきれない気配が、ひとつの旋律になっていく。

(勇くん……どうして、そんな風に優しくできるの……)

言葉にできない想いが、背中越しに、そっと火を灯していた――
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