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誰にも言えない、紗也香先生
第4章 彼の初めての「答え」
背中に感じる彼の体温に、私はそっと身をゆだねた。
まるで夢のなかに迷い込んだ猫のように、
誰にも見せたことのない自分が、彼の腕のなかで静かに目を覚ます。

ふいに、首筋にあたたかな吐息。
そこから始まったキスは、長くて、深くて――
言葉ではなく、気持ちを伝えるためのものだった。

耳元で交わされる吐息、
重なり合う温もりの中で、肌が音を立てて触れ合う。
柔らかな午後の日差しが、カーテンの隙間から差し込んで、
部屋の空気は、静かに熱を帯びていった。

ふたりは自然と、ゆっくりと、床の上に横になった。
私の服は、彼の優しい手に導かれて脱がされていく。
(でも……)
私は、女だから。
男の服に指をかけるのが、どこか気恥ずかしくて、
ただ静かに、目を閉じた。

すると、彼の方から、そっと自分のシャツを脱ぎ、
やがてすべてが陽光の中に溶け込む。
窓から差す光のなか、重なり合ったふたりの影は、
いつしかひとつに溶けていた。
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