この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
巫女は鬼の甘檻に囚われる
第16章 鬼の葛藤

 呪いに近付くことはできない。

 鬼は洞窟の入口に立ち、片手をかざした。

 すると黒い妖気が彼の手から渦を巻き、洞窟の入口を覆って広がる。

 妖気は黒い霧となってうねり、岩と岩の隙間を縫うように這い、すぐに入口全体を覆った。霧が固まり、黒い結晶のような結界が形成され、鈍い光を放ち、洞窟の呪いを閉じ込めた。

 最後に生ぬるい風が吹いて鬼の銀髪を巻き上げ、境界の封印を終える。

「さらった人間は喰われたのか」

「わかりかねますが、呪いが発生しているとなれば、その可能性が高いかと」

「面倒な」

 無人の洞窟にこれ以上の手がかりはなく、鬼は踵(キビス)を返した。式鬼がその後を追う。

「さらに、蓬霊山の人喰い鬼についてですが…」

 鬼界の森を戻りながら、式鬼が話を続けた。

「どうやら人界の人間が故意に噂を広めたようです」

「十中八九、その人間は、洞窟に女をさらったモノノ怪と繋がっているな」

「鬼王さまを討伐しようと考えたのでしょうか」

「ふっ…そこまで愚かではあるまい。それの狙いは、都にいる巫女や法師の始末だろう。現に奴らは俺に立ち向かい、死んでいった」

 鬼の声には、後悔はないが、利用されたことへの僅かな腹立たしさが滲む。彼の黄金の瞳が、冷たく光った。

「お前は、拐われた人間の隠し場所が他にないかを探せ」

「かしこまりました」

 鬼界から元の境界に戻った鬼は、屋敷の地下へと続く扉を開けた。


/114ページ
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ