この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
巫女は鬼の甘檻に囚われる
第24章 終章──いつの日か




「鏡とは本来、自分自身を映す物。
 わたしもあなたも……それを恐れた臆病者です」


「……そうか、確かに、……そうやもしれぬな」




 それを聞いた鬼は、これ以上を話すまいとした。

 彼にはひとつ、巫女に伝えていない事がある。

 それは──鏡が人界を映していたのは20年ほどで、それ以前はずっと、そこには天界の風景が流れていたということだ。




「──…」




 そして巫女は、鬼の探し人が誰かを聞かなかった。

 彼女にはひとつ、鬼に伝えていない事がある。

 これまで天哭ノ鏡は、鬼の願望に影響して人界の風景をかわるがわる映していた。

 そして今は本来の姿…なんの変哲もない鏡に戻っている。




 つまりこの間に……鬼は探し人を見つけたという事なのだ。





「いつの日か……思い出したいものですね」


「……?」





 クスリと笑った巫女は、小さな口で桜餅を頬張った。

 彼女の琥珀色の瞳が、晩春の光に輝く。

 鬼は無言で彼女の美しさを目に焼き付ける。

 林の優しい静寂が、そんなふたりの絆をそっと包み込んでいた──。






















 巫女は鬼の甘檻に囚われる(完)






/200ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ