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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第24章 終章──いつの日か

そしてふたりは無言となり、少し奇妙な静寂が流れた。
まだらな林の光が……そんなふたりの影を柔らかく散らした。
....
「──…俺が八百年の間 あの鏡で何を探していたのか…お前は気にならぬのか?」
唐突に、鬼がそんなことを切り出した。
驚いた顔をする巫女。
振り向くと、いまだ鬼はそっぽを向いたままだ。
(突然どうしたのかしら)
「……いいえ、聞かぬことにします」
少しの間を置いて、巫女が答える。
「天哭ノ鏡が人の世を映していたということは、あなたが望むモノがそこにあったという事。わたしがわかるのはそれだけです。あの鏡は持ち主の強い願望に影響して、映すものを変えますから」
「そうなのか」

