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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第5章 逃避の代償

 黄金の瞳が冷たく光り、その威圧感だけでモノノ怪たちが怯んで後退する。

 投げ捨てるように解放された巫女はその場に尻もちをついた。

「痴れ者が……俺の獲物に手を出すとはいい度胸だな」

「ヒィィッ…!!」

 鬼の声は低く、地響きのように森を震わせた。

「ナッ…!?ナッ…!?どうして鬼王サマがこのようなトコロに!?」

「ここここの女は…っ、たまたま見つけただけで!まさか貴方サマのものとは知らず!」

 狼狽えるモノノ怪たちが、鬼に向かって必死に弁明(ベンメイ)する。異様に曲がった腰をそれ以上にかがめて、両手を上げ、震える頭(コウベ)を垂れるものもいた。


「見逃してくだせぇ…見逃してくだせぇ…っ」

「──…」

「‥‥‥‥!」


 だが、無駄だった


 一瞬の時をおいて、鬼はモノノ怪たちに襲いかかった。

 鋭い爪が空を切り裂き、異形たちの身体を次々と引き裂いていく。骨がボキりと砕かれ、血と肉片が飛び散り、断末魔の叫びが森に響き渡った。

「……!」

 巫女は呆然とその光景を見つめていた。鬼の力は圧倒的で、数瞬のうちに妖怪の群れは全滅し、ただの肉塊へ変わってしまった。



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