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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第5章 逃避の代償


 ドサッ...!


「‥‥ッッ‥」

「──…さて」

 血に濡れた鬼が振り返り、彼女を見下ろす。冷たくもどこか愉しげな笑みがその美麗な口元に浮かんでいた。

「お前……俺から逃げた結果がこれか。随分と無謀だな」

「っ‥‥!」

 巫女は恐怖と悔しさで唇を震わせた。助けられた事実に感謝するどころではない。

 しかし…力尽きた身体は動かず、鬼が近づいてくるのをただ見ているしかなかった。

 鬼はそんな巫女を抱き上げ、再び屋敷へと連れ帰る。抵抗する力もない彼女は、鬼の腕の中でただ震えるだけだった。



 屋敷の戸が再び閉まり、暗闇が二人を包み込む。

 鬼は彼女を床に下ろすと、彼女の腕に刻まれた傷口に目を留めた。モノノ怪の爪に切り裂かれたそこからは、まだ鮮血が滲み出している。

「ほう……」

 鬼は目を細め、彼女の腕を掴んで引き寄せた。そして傷口に顔を近づけると、長い舌を這わせて血を舐め取った。赤い血が鬼の唇を濡らし、彼はその味を堪能するように目を閉じた。

「美味い……お前の血は霊力の香りがしてたまらんな」

「や……めて……」

 巫女は弱々しい声で拒絶したが、鬼は意に介さず、傷口を舌でなぞり続ける。濁りのない血の味と彼女の霊力が混じり合ったそれに、鬼の表情には恍惚とした色が浮かんだ。

 レロォ....

「‥ぅ‥‥ぅぅ‥‥‥!」

 彼女の震える腕を掴んだまま、鬼は彼女を見下ろして嘲るように吐き捨てる。

「俺から逃げた罰を与えてやる…覚悟しろ」

「お、お願いです……もうやめて……」

 彼女の懇願も虚しく、鬼の手は容赦なく巫女服を剥ぎ取った。



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