この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
巫女は鬼の甘檻に囚われる
第9章 朝露の来訪者

 巫女は一目で、彼もまたモノノ怪だと理解した。

「なっ…!人間がいるなんて、予想外だ」

 少年は巫女をじっと見つめ、縁側におそるおそる近付いた。

 玉藻(タマモ)と呼ばれた狐は巫女の膝の上でくつろいだまま、少年の方をちらりと見て、また巫女の胸に顔を埋める。

「おい玉藻!」

「…………(クーン)」

「玉藻が人間にこれほど懐くなんてっ……こいつは昔から人間嫌いなんだがな。変だな…!?おーい、おーい」

「…………」

「おお、しっかり無視してくる」

 少年は、巫女に懐いている狐の様子に戸惑っている。ただ彼の声は落ち着いており、大人びた観察力が感じられた。

 巫女は微笑み、膝の上の狐をそっと撫でた。

「玉藻、というのですか? 可愛い名ですね」

「あ、ああ」

「この子はそこで動けなくなっていました。呪いに侵されていたのです」

「……!まさか、オマエが治したのか?」

「はい」

 少年は目を細め、玉藻の後ろ足を確かめるように視線を落とした。黒い痕が消えているのを見て、感嘆の息を漏らす。

「見事だ。呪いを完全に祓うとは、非凡な力だ。オマエは一体何者だ?」

「わたしは巫女。浄化の力を使えます。あなたは……?」

「そうか巫女か。オレは影尾(カゲオ)で、玉藻の兄だ」

 影尾(カゲオ)は静かに名乗り、玉藻を指差した。玉藻は巫女の胸に顔を埋めたまま、くぅくぅと小さな寝息を立てている。

「兄妹なのですね。仲が良さそうで微笑ましい」

 巫女の言葉に、影尾はふっと笑みを浮かべ、ようやく彼女の横に腰を下ろした。

「そう見えるのは、良いことだな。だがなによりオマエがこの屋敷にいる理由が気になる。ここは鬼王さまの領域だぞ?人間が無事でいられる場所ではない」

 その言葉に、巫女の表情が一瞬曇る。彼女は玉藻を撫でる手を止め、静かに答えた。



/81ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ