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午後四時までの性隷
第9章 初対面までの道
何かを考えようとすればするほど頭の中は真っ白になり、私に思考する余裕を与えてくれません。

流れ行く車窓に目を転じても、何も入ってきません。

今が昼なのか夜なのかわからないほど…。

終点のターミナルに着いたときは、10時半を少し回ったところでした。

平日の午前中。

開店したばかりの百貨店だというのに、すでに多くのお客さんで賑わっていました。

どうやら海外からの観光客のようです。

化粧品売り場がごった返しています。

いつもなら何か新作はないか立ち寄るのですが、今日はそれどころではありません。

担当の店員さんに顔を見られるのも困ります。

化粧品売り場担当の方は、雰囲気が違うことをすぐに察知しますから。

担当の彼女に見つからないよう喧騒を避けて、エスカレーターに乗りました。

2階の奥まったスペースに、その喫茶室はあります。

入り口の前に立って、私は深呼吸をせずにはいられませんでした。

夫や娘の顔が散らつきましたが、自分の欲求の方が勝っていました。

走っている汽車から降りることは、容易ではありません。

私はスマホを取り出し、榎木さんにメッセージを送りました。

「お待たせして済みませんでした。今、着きました」と。
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