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Memories of 1994 露出少女A
第2章 塾講師
それが変更になることに何か痛痒を感じる要素はなかった。どうせ、下宿のマンションの一室にいてもすることはない。新しいゲームを終えたところだった。当然、もう何度か飽きるまでするのは日課だったが、なにも、クリスマスイブの夜にすることではなかった。

40歳前後とはいえ妙齢の育ちの良さが溢れる母親と、その娘である路子と、多分、その父親も在宅だろうが、小学六年生とはいえ、女子。一人で下宿のマンションで過ごすより、どのように考えても前向きになるべき提案だった。

「路子、よかったわね」

と、笑顔を娘の路子に向ける母親。俺は、2人を見送ったあと、事務所で路子の入塾申込書を確認した。

俺が通う大学、そして、働く『マサル学院』のある政令指定都市の山の手にある古くからの高級住宅街の住所が記載されていた。今なら、Google Earthで検索すれば、どんな家かもわかるだろうが、当時はそんな便利なツールはなかった。

そして、申込書の保護者の欄は、雨宮亮子(あまみや・あきこ)とあった。父親ではなく、母親?確認しても他の塾生は、みんな父親の名前だった。

頭の中を『母子家庭』という言葉が横切った。まさか、あんな高級住宅街に住んでいる母子家庭などあるはずがない。何らかの事情で父親の名前を出すのが憚られるのだろうか?そんなことを考えた。

雨宮姓で有名人。雨宮姓で、超が付くほど有名人と言えば、明治の実業家『雨宮敬次郎』。そして、アナウンサーの雨宮京子、雨宮塔子。当時はそれくらいだった。のちには、日銀副総裁を務める雨宮正佳がいるが、敬次郎の玄孫のはずだ。

いったいどんな家庭状況なのだろうか。不安がよぎった。

母子家庭に男が訪ねることの拙さは考えないでもなかったし、万が一、父親不在のところに上がり込んだというのも問題になるのではないかと不安になった。
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