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ゆらぎの夜
第6章 遠距離の電話越しの吐息
「……今、なにしてるの」
スマホ越し、少しだけかすれた彼の声が耳に届く。
「ベッドに入ったとこ。あなたは?」
「俺も、今横になった。……会いたいね」
その一言で、胸の奥に触れられたような気がした。
会いたい。触れたい。名前を呼ばれながら、
その指先に包まれたい。
だけど画面の向こう、彼は遥か遠くの街にいる。
飛行機に乗らなければ届かない場所。
だから私は、電話のスピーカーを枕元に置き、
彼の吐息を聴く。
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