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ゆらぎの夜
第6章 遠距離の電話越しの吐息
「……いま、なに着てる?」

「Tシャツ一枚。あったかいから」

彼がふっと笑う気配。
その音に、心の奥が震える。

「俺の声で、気持ちよくなれたりするかな」

少しの沈黙。
息を飲む音まで届いてきそうで、
私は、そっと目を閉じる。

遠くて、でもすぐ近くで――
彼の声が、私の肌に触れてくる気がした。

夜が深まるたび、
電話越しの吐息は、心の奥を甘く撫でていく。

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