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ゆらぎの夜
第2章 初めての吐息
夜の静寂の中、スマートフォンが震える。
「……まだ起きてた?」
彼の声が、まるで指先で触れられたように肌に伝わってきた。

うん、とだけ返す。
ほんの少し遅れて、彼が微笑む気配が届く。

会えない距離にあるからこそ、
声だけが私たちを繋いでいた。

耳にぴたりと当てたスマホの向こうから、
かすかに吐息が漏れる。
そのたびに、胸の奥がきゅっと疼いた。
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