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木漏れ日をすくう手
第3章 指先の温度

「ちょっとだけ、しみるかも」
そう言って、先生が傷口に薬を塗る。
その間ずっと、椎名先生は葵の手を優しく支えていた。
触れられている場所だけ、時間がゆっくり流れている気がした。
大人の女性の手は、思っていたより温かくて、頼りがいがあった。
「これで大丈夫。無理はしないでね」
そう言って貼られた絆創膏の上から、もう一度軽く指先で押さえられる。
ただそれだけのことなのに、胸の奥がふわりと揺れた。
「先生って、なんでもわかってくれそう」
気づけば、そんな言葉が口をついていた。
先生は驚いたようにこちらを見て、それから、ふわっと笑った。
「私も、ちゃんと話してくれる子は好きだよ」
その一言が、まるで風に吹かれる木の葉のように、葵の心をやさしく揺らした。
そう言って、先生が傷口に薬を塗る。
その間ずっと、椎名先生は葵の手を優しく支えていた。
触れられている場所だけ、時間がゆっくり流れている気がした。
大人の女性の手は、思っていたより温かくて、頼りがいがあった。
「これで大丈夫。無理はしないでね」
そう言って貼られた絆創膏の上から、もう一度軽く指先で押さえられる。
ただそれだけのことなのに、胸の奥がふわりと揺れた。
「先生って、なんでもわかってくれそう」
気づけば、そんな言葉が口をついていた。
先生は驚いたようにこちらを見て、それから、ふわっと笑った。
「私も、ちゃんと話してくれる子は好きだよ」
その一言が、まるで風に吹かれる木の葉のように、葵の心をやさしく揺らした。

