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木漏れ日をすくう手
第4章 秘密のノート
その夜、葵は机に向かっていた。
いつもなら、宿題の文字が並ぶノートに、今日はまったく別のことを書こうとしている。

ゆっくりとペンをとって、白い紙に小さな文字で綴りはじめる。

 ――椎名先生と話すと、胸が静かに高鳴る。
  手を触れられたとき、言葉にならない感情があった。
  あの人の声が好き。香りも、目の優しさも。

こんなこと、誰にも言えない。
でも、こうして書くことで、少しだけ心が楽になる。

書きながら、葵は気づいていた。
これはただの“憧れ”じゃない。
もっと深くて、もっと温かいもの。
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