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木漏れ日をすくう手
第4章 秘密のノート
ノートの端に、そっと“好き”という一言を記す。

(私、先生のことが……好きなのかもしれない)

そう思った瞬間、胸が締めつけられるように熱くなった。
その気持ちは甘く、同時に少しだけ切なかった。

窓の外では、風が揺れている。
カーテンの隙間から漏れる街灯の明かりが、ノートの上に淡く広がっていた。

誰にも見せない言葉たち。
でもそこには、確かに今の葵がいた。

ページを閉じ、静かに目を閉じる。
耳の奥に残るのは、保健室で聞いたあの人の声。

(明日も、会えるだろうか)

そんな小さな願いを胸に、葵はそっと布団に身を沈めた。
その夜、夢の中でも先生の姿が、木漏れ日のように揺れていた。
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