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木漏れ日をすくう手
第5章 そっと差し出すもの

その朝、葵は台所で小さなクッキーを焼いた。
焦げないように、慎重に火加減を見て、ラッピングは少し不器用。
けれど、それでも葵は、袋のリボンを結ぶとき、心が少し弾んでいた。
昼休み。
教室のざわめきを抜け出して、静かな廊下を歩く。
手の中の紙袋は軽いのに、なぜか心臓が少し重かった。
保健室の扉をそっと開けると、椎名先生が窓のそばで書き物をしていた。
その横顔に、ほっと胸がなで下ろされる。
「こんにちは。あの……、これ、よかったら」
差し出した袋に、先生が目を丸くした。
焦げないように、慎重に火加減を見て、ラッピングは少し不器用。
けれど、それでも葵は、袋のリボンを結ぶとき、心が少し弾んでいた。
昼休み。
教室のざわめきを抜け出して、静かな廊下を歩く。
手の中の紙袋は軽いのに、なぜか心臓が少し重かった。
保健室の扉をそっと開けると、椎名先生が窓のそばで書き物をしていた。
その横顔に、ほっと胸がなで下ろされる。
「こんにちは。あの……、これ、よかったら」
差し出した袋に、先生が目を丸くした。

