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木漏れ日をすくう手
第8章 たった一日、会えないだけで
終業式の前日。
教室はいつもよりざわついていた。夏休みの話題、花火大会、旅行の計画。みんなが楽しそうに未来を語るなかで、葵は少しだけ浮いていた。

昼休み、自然と足が保健室へ向いた。
でも、ノックしても返事はなかった。

(いない……)

職員会議中なのかもしれない。
ただそれだけのことなのに、胸の奥にすとんと、穴があいたようだった。

(なんで……こんなにさみしいんだろう)

ゆっくりと保健室のドアから離れ、階段をひとりで降りる。
誰にも言えない、説明もできないこの感情が、重たく心の底に沈んでいった。
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