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アダルトビデオの思い出
第1章 「インディーズ」ビデオ
まさか。
ぼくは思った。

ぼくの彼女がビデオに出演している。
それも、インディーズのアダルトビデオ。

まさか。

顔は写っていない。
男ふたりが、ひとりの女をナンパしている。
さかんに誘う男の声。

それに答える女の声が聞こえる。

ぼくの彼女の声にそっくり。

でも、声が似ている女、
しゃべり方が同じ女なんて、
どこにでもいるじゃ無いか。

恐怖が、ぼくの考えを否定する。

ぼくの頭の中は、いろんな思いが渦巻いている。

カメラが女の顔をとらえる。

ぼくの彼女か?違うのか?

モザイクがかかっている。
女の顔は、モザイクではっきり分からない。

ぼくの彼女の髪型はショート、
ビデオの女はセミロングだ。
違う。

でも、昔の髪型…と言われれば、
そのようにも見える。

このしゃべり方。
ぼくの彼女にそっくりだ。
酔った時の、甘えるような話し方。
語尾をちょっとのばした、ちょっとだらしないような声。

彼女は、この男に、なんだか気があるそぶりだ。
若い男の方をずっと見つめている。

彼女は酔っている。
酔ったところで、声をかけられたみたいだ。


声、話し方、体の特徴、服のセンス、会話での言葉の使い方、
似ている。
そっくりだ。
いや、間違いなくぼくの彼女だ。

ぼくは、食い入るように画面を見つめる。

右手でしごいていた、ぼくのモノは、この時すっかり小さくなっていた。
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