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第9章 囁きの罠

薄暗いバーの個室。扉の隙間から漏れる笑い声が遠く、ここだけが静寂に包まれている。
彼女の指が俺の胸に触れ、震える唇が耳元へ近づく。

「誰かに聞こえたら、どうする？」

その言葉が、逆に興奮を煽る。周囲のざわめきを感じながら、秘密を共有する快感。
声を抑えながら、唇が首筋をなぞる。息遣いが熱く、肌がざわつく。

俺の手が彼女の背中を滑り、彼女は小さく喘ぐ。声を押し殺すその音が、胸を締めつける。
もし誰かに見つかれば、すべてが壊れる。その危うさが、官能の炎を激しく燃やした。

「もっと、聞かせて…」

囁き合う声と、押し殺した吐息。背徳の闇が二人を絡め取り、逃れられない熱の渦へと引き込む。