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火照りが引かないあなたに
第4章 夜の残り香

二十分後。ドアがノックされる音。
開けると、千紗が立っていた。濡れた髪に、薄手のカーディガン。見慣れた、でもどこかよそよそしい顔。
「寒かっただろ。入れよ」
千紗は無言で頷き、部屋に入ってきた。
ふわりと漂うシャンプーの香りに、喉が鳴る。
「これ……返しに来たの」
彼女が差し出したのは、俺のTシャツ。
「まだ洗濯してなくて、ごめんね」
と呟いたその声に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。
「……着てただろ」
「うん、たまに。匂い、残ってたから」
千紗の手が、Tシャツを抱えたまま、俺の胸に触れた。
次の瞬間、彼女の唇が、そっと重なった。
柔らかくて、湿っていて、ずっと求めていた感触。
「会いたかった……」
「……俺も」
言葉が終わる前に、唇が重なり、手が身体を探るように動き出す。
ソファに押し倒すと、彼女は目を閉じたまま首を傾け、俺の背を抱きしめた。
薄いカーディガンの下、体温がしっかりと伝わってくる。
「千紗……」
「好きにして。もう……我慢してたの」
その夜、彼女の身体のすべてが、俺の手の中に戻ってきた。
背中をなぞるたびに、耳元で名前を呼ぶ声が震えた。
離れていた時間が、ふたりの間を灼けつくように埋めていく。
別れたままのはずだったのに。
今、この狭い部屋には、たしかに「ふたり」がいた。
続
開けると、千紗が立っていた。濡れた髪に、薄手のカーディガン。見慣れた、でもどこかよそよそしい顔。
「寒かっただろ。入れよ」
千紗は無言で頷き、部屋に入ってきた。
ふわりと漂うシャンプーの香りに、喉が鳴る。
「これ……返しに来たの」
彼女が差し出したのは、俺のTシャツ。
「まだ洗濯してなくて、ごめんね」
と呟いたその声に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。
「……着てただろ」
「うん、たまに。匂い、残ってたから」
千紗の手が、Tシャツを抱えたまま、俺の胸に触れた。
次の瞬間、彼女の唇が、そっと重なった。
柔らかくて、湿っていて、ずっと求めていた感触。
「会いたかった……」
「……俺も」
言葉が終わる前に、唇が重なり、手が身体を探るように動き出す。
ソファに押し倒すと、彼女は目を閉じたまま首を傾け、俺の背を抱きしめた。
薄いカーディガンの下、体温がしっかりと伝わってくる。
「千紗……」
「好きにして。もう……我慢してたの」
その夜、彼女の身体のすべてが、俺の手の中に戻ってきた。
背中をなぞるたびに、耳元で名前を呼ぶ声が震えた。
離れていた時間が、ふたりの間を灼けつくように埋めていく。
別れたままのはずだったのに。
今、この狭い部屋には、たしかに「ふたり」がいた。
続

